第8章 ローズとエリザベス
因みにローズの性別はオスである。銀色の毛並みに青い瞳、額の真ん中に紅い突起物がある。これは角が退化した物と云われているが定かではない。今は猫と同じくらいだが、成長すれば大型犬くらいの体格になる。
「じゃあ、行くか」
スコットはローズにリードを付けて司令部を後にした。
その頃、レスキュー艦では些細な争いが起こっていた。
「そこは右やろ!」
「違うわ、左よ!」
言い争っているのは、ロブとメルだ。周りの隊員達はいつもの事と、あえて口出ししない。
「ソコハ真ン中デス」
そこへエリザベスが正解を述べた。
「エリーは黙ってろっ!」
「エリーは黙っててっ!」
ヒートアップした二人には、もう正解なんて関係なかった。
「…ヤレヤレ、困ッタ二人デスネ」
エリザベスは、艦を降りようと遠めで見ていたリンとシェリーに呟いた。
リンは「いつもの事ですから…」とうなだれる。
「喧嘩する程、仲が良いとも言うしね」
シェリーは笑って答えた。
「地球人ハヨク分カラナイデス…」
エリザベスはしばらく様子見することにした。
「あっ!そうだ!」
リンが急に大声を上げた。
「わっ!ビックリした…
どうしたの?」
シェリーは驚いてリンを見た。
「連邦からの支給品の中に、エリー宛ての荷物があったの忘れてた…」
「私宛テノ荷物デスカ?」
エリザベスも知らなかった。