第8章 ローズとエリザベス
食堂ではすでに全隊員が揃っていた。スコットがローズを抱いたエリスを連れて現れるとどよめきが起こった。
「誰だ?あの美人は?」
「おっ、ローズを抱いてるぞ」
「艦長の彼女か?」
「えっ!?艦長、結婚するの?」
「あんな美人と?さすが伝説のレスキュー隊員だ!」
「奥さんも伝説級だ!」
スコットが予期しない盛り上がりで、いつの間にかエリスがスコットの彼女になっていた。それどころか結婚話にまで進み祝福ムードになってしまった。
「静かにしろ!
誰が結婚するなんて言った!」
スコットはマイクを握ると結婚を否定した。それでもどよめきは暫く収まらなかった。
「…ったく、油断も隙もないな
改めて紹介する、彼女はエリザベスの分身だ」
またどよめきが起こった。この事を知っているのは、リン、シェリー、レイラくらいだ。他の隊員が驚くのも無理はない。
「銀河連邦製のヒューマロイドで、エリザベスの移動式端末になる
名前は区別するためにエリスと名付けた
所属はマザーコンピュータ室付けだが、艦内を自由に活動してもらう」
「「「おぉ~っ!」」」
男性隊員からの大歓声が食堂に響いた。女性隊員からもため息に似た歓声が上がっていた。
「美人が来て嬉しいのは分かるが、彼女はマザーコンピュータ『エリザベス』だと言う事を忘れるなよ
…じゃあエリス、簡単で良いから挨拶してくれ」
「はい、本来ならこの艦とセットで配属されるはずだったのですが、遅れてしまいました
私は艦全体のチェックやメンテナンスを行います
皆さん、改めてよろしくお願いします」
エリスは流暢に喋り頭を下げた。