第1章 鬼と私
そこには長い綺麗な黒髪で
顔には仮面をつけた男がいた。
??「ふっ」
男はニヤッと笑うとひと振り、
またひと振りと刀を降り下ろした。
キンッキンッ!!
何度か刀を交えると互いに距離をとり
?「…くっ…ただ者ではないな…
貴様、先祖返りか…?」
??「私はドSだ。」
?「…話が通じる相手ではなさそうだ。
質問を変えよう、貴様何者だ。」
蜻「ふはははは!!
我が名は青鬼院蜻蛉!
貴様の言うとおり鬼の先祖返りだ。」
?「瑠花を知っているのか?」
蜻「知らん。」
?「?!では何故助ける?」
私は二人のやり取りを聞いていた。
やはり一番疑問は
何故何も知りもしない赤の他人である私を
助けたのかということだった
彼は少し黙ってから
蜻「理由などない!
助けたいと思ったから助けたまでだ。」
?「ならば仕方がない。
邪魔をするのなら処分するまで。」
蜻「いいだろう!受けてたとう!!
では私からいくぞ!!」
キンッ!!キンッ!!ギンッ!!!
再び刀が交わり火花が散る
しかし、決着はすぐについた。
圧倒的に青鬼院蜻蛉と名乗る男のほうが
強かったのだ。
?「…くっ、
"今回"は駄目だったが忘れんぞ…青鬼院蜻蛉。」
そういうと奴は去って行った。
瑠「あ、あの…」
蜻「ん、なんだ?」
そう言って振り返った彼に私は見とれていた。
季節は4月、桜吹雪の中
風になびく長い黒髪
仮面の隙間から見える澄んだ瞳
彼の全てに見とれていた
これが彼との出会いだった。