【ヒロアカ】暴走する、疾風と雷のジャンクフード【上鳴電気】
第3章 幸せな非日常が交差する
やらかしてしまった俺へ向け、厳しい視線を湛えている一人の少年がずんずんと歩みを進め近寄ってくる。
見るからに四角四面のマジメちゃんって雰囲気だ。濃いめの藍色の髪に、強気で気丈で悪に屈しない、まさにヒーローって雰囲気のそれなりに端正な顔立ち、それで鍛え上げられた体。…こういう子って意外と弱点が多かったりするんスよね、俺好みに弄ってあげたいッスね!
「そこの君!聞いているのか!」
「ふぁいっ!すみませんッス!」
調子に乗ってブツブツそんな事を呟いていると案の定厳しく怒られてしまった。返事の歯切れが悪くなってしまったせいで周りにいる人達も
「確かあいつってさっきまで遅れてきてたヤツだよな?」「うっわ恥かきまくってる、かわいそ」とか嫌味な声色で次々と言葉を投げかけてくる。出久ちゃんもまた何かについて呟いてるみたいだけど、俺に目が留まってるらしくてよかっ…
「そこの縮れ毛の君も立て、君達は一体ここに何をしに来たんだ?冷やかしならば即刻家に帰りたまえ!」
「えっ!ぼ、僕もなのか…」
前言撤回、本当に抜け目がないみたいだ。…出久ちゃんはさっき俺と一緒に入場してきた事もあって、同じく冷やかな視線を浴びせられてて…俺が七割くらい悪いのにな。
マジメちゃんがアレコレ説いている説法を右から左にへと聞き流しながら、こっくりこっくりと眠気が募ってきて傾きかける頭を何とかぐりんと固定して。早くこの実にバツの悪い空間から抜け出したくて、一旦聞いた振りをしておく。にしても話を聞かせただけで人の眠気を誘うなんて、教師の才能あるんじゃないッスかこの子。
…多分遅刻しかけた上にめためた怒られた人が試験に参加してて、ラッキーって思われてんでしょーね。
「いいか、大体君達はヒーローとしてこの場に参加する権利を与えられた恵まれた人間なのだぞ。それなのにそのチャンスを反故にするなどヒーローに対する冒涜で…」
「マジメすぎるッスよこれぇぇ…」