第3章 No.3
小テストを終えた荒北が私に解答用紙を突き出してきた。
荒北「あいよ。俺ベプシ買ってくる。」
そう言って荒北は大きな音を立てながらイスから立ち上がり、
図書館の外の自販機へと向かった。
その間、丸つけをしているわけだけど…
これはひどい…
よくこんな出来で洋南に行きたいって言えるな…
しかも工学部…。
頭を私は抱えた。
辛い。
私がつらい、もはや。
ベプシを片手にニヤニヤしながら戻ってきた荒北。
荒北「どぉ?結構出来てんじゃナァイ?」
「ボロボロ。」
荒北「ハァ!?」
「100点中27点。」
荒北「大したもんじゃナァイ!」
「嘘でしょ。」
結構誇らしげな荒北をみて、
私は大きなため息をついた。
「なんでこんなに基礎ができてないの?」
荒北「わっかんネェけど、俺補修ばっかだからじゃねーのォ?」
「そんな頭悪いの?」
荒北「ちげーよ。俺自転車競技部だったからァ。」
自 転 車 競 技 部 ?
そんな部活うちにあったっけ。
あーあったかも。
なんか毎年全国行ってますってとこ。
去年確かうちら優勝して日本一かも。
あ、東堂とかもその部活だったかも、そういえば。
だからここが仲いいのか。
点と点が繋がって線になった瞬間だった。
「ほぉ。」
荒北「おめーにはわかんねェだろうけどよォ。ロードの魅力はなァ!!!!」
「別に知ろうとも思わないから、大丈夫。」
荒北「ハッ!お前のその態度可愛くねーな。ムカつく。」
別に私は荒北を合格させればいいだけの話。
だから別に荒北自体に興味はなかった。