第3章 甘くて苦い
>>>翔side
唇が触れ合うと柔らかい感触がして、智くんの体温がじんわりと伝わってきた。触れただけでも心が満たされるようにあったかくなって…。
ゆっくり唇を離すと薄らと瞳を開いた智くんと目が合った。
翔「ごめん…!!いきなりビックリしたよね、」
智「うんん、翔くんとするの嫌じゃなかったし…」
目をそらしてシャツの襟を弄りながらボソボソと呟く智くん。貴方、本当に今年で四十?どんだけ可愛い反応するんだよ!!
翔「ならよかった、!あのさ…智くん、」
智「いいよ」
翔「え?」
智「いいよ。一緒に暮らそう?」
翔「本当に?!!」
勢い余って言ってしまった俺の本音を智くんはあっさりOKしてくれた。絵は場所と画材があればどこでも描けるし、俺といた方が楽しいからって言ってくれて。…どうしよう、マジで嬉しい。
翔「これから宜しくね。…一応同居する訳だし、これからは俺も家事とか率先してやるように頑張るから」
一緒に暮らすなら、俺だけじゃなくて智くんも一緒に暮らして良かったって思って欲しい。俺と居るのが楽しいって思って欲しくて。
智「ふふ、ありがとう。じゃあまた一緒にごはん作ろう?」
翔「うん!!」
俺、貴方の事が好きだよ。
智くんと同じ時間を過ごして、唇に触れてみて、どんどん貴方を独り占めしたいって気持ちが強くなっていく。
愛おしい気持ちが止まらなくて智くんを抱きしめたらそっと腕を背中に回してくれた。
俺は腕の中に居る大好きな人を大切に大切に抱きしめた。