第2章 愛の言葉
「好きです。あなたのことが。」
「……あ、あの、宗次郎、」
「愛しています、蛍さん。」
「…っ…!」
無理、無理、無理…!
顔を真っ赤にさせていた蛍だったが、とうとう耐えきれず宗次郎に向かって両腕を突き出し、顔を逸らしたのであった。
「そ、その!もう、無理…っ!」
「無理って…」
嫋やかに宗次郎は蛍の両手首をまとめ上げて引き寄せ、自由に身動きの取れない彼女の下顎をしかと掴んで自分の方へと向かせるのであった。
「わっ!あっ、何するのっ!」
「だって、蛍さんが自分からおねだりしたんじゃないですか。」
じいっと曇りの無い眼で覗き込まれ、蛍は今度は耳元まで真っ赤にさせる。宗次郎はなおも蛍にじっくりと視線を辿らせて。蛍はますます羞恥に震えた。
伸ばされた人差し指が唇の隙間をなぞり上げていく。
「──愛の言葉が欲しいって。」
「そ、そんな風に言ってない…た、ただちょっと好きとか、そういう感じの言葉聞いてみたかったなって…」
「ほぼ同義でしょ。せっかく叶えてあげてるんですから、素直に受け入れてくださいよ。」
「心臓が、もたない…!」