第3章 君を愛しているかららしい
「オメーのその顔、変装なんだろ!?」
バイクで疾走中、後ろから大きい声で問われる。
ベネチアンマスクを付けたままバイクに乗るなんてことはできないし、とはいえ素顔のままという訳にはいかないので、快斗の言う通り今は変装用のマスクを被っている。
正体はバレてないはずなのになぜ変装だとわかったのか疑問に思っていると、いつもと口元が違うからな!とまた後ろから声が聞こえた。
顔バレしないように付けているベネチアンマスク。
口元は確かに出ているけど、口元だけでいつもと顔が違うと気づくのは快斗が怪盗キッドでもあるからだろうか。
快斗の前では気を抜いたらアウトだな、なんて思っていると、再び快斗が口を開いた。
「ところで、オレがいない間、あのロボットは何回キッドをやったんだ!?」
「いつから監禁されてたか知らないけど、怪盗キッドの予告は今日含めて3日連続よ!」
快斗に聞こえやすいように、目線は前を向きながら顔を少し横へ向けて伝えると、3日連続ぅ〜〜〜!?と叫んだ快斗。
その驚き方的に、シャノワールと予告が被った一日目もあのロボットが怪盗キッドに成りすましていたのだろうと予測できる。
快斗が制服を着ているところを見る限り、その日の学校帰りにでも攫われたんだろう。
そういえば、とさっきから気になっていたことを聞いてみる。
「あなた、私に顔がバレてるっていうのに、動揺しないのね?」
同業者とはいえ、顔がバレているのはかなりのリスクであることは、本人もよくわかっているだろう
「あー……オメーいろいろ知ってんだろ?初めて会ったときも見てたろ、全部。今更じゃねぇか」
「…さぁ、どうかしら」
怪盗キッドと馴れ合う気はない。むしろ快斗に怪盗をやめて欲しい私は、曖昧に返事をする。
自分から話を振ったが、これ以上この話を続けるのも都合が悪いと思っているところで、タイミング良く目的地に着いた。
「さ、着いたわよ。本物の怪盗キッドさん?」
快斗を降ろし、Bon Courage♡とウインクをして背中を見送った。