第27章 女型捕獲作戦2
結局俺は、エマにはあれ以上手を出すことはしなかった。
エマは自分でエルヴィンに話すと言った。
だが、俺は俺でコイツと話すことがある。
護送の馬車で二人きりなのは丁度良かった。
「エルヴィン…丁度良かった。お前に話がある」
「なんだ、リヴァイ。改まって」
「エマのことだ」
エマという名前を出せば少しくらい表情が変わるかと思ったが、眉一つピクリとも動かねぇ。
全く食えないやつだ。
「作戦中だ、用件だけ言う。
エマと俺はお互い想い合ってるってのがわかった。
これ以上エマに手を出すな」
馬車での会話はおよそ外に聞こえることは無いが、端的に言った。
「そうか、やはりな。お前の言いたいことはわかった。
だが、今後もエマには補佐の仕事はしてもらうし、選ぶのはエマだ」
エルヴィンは全く表情を変えず、余裕のある笑みで返してくる。
クソが…
相手が悪い…
『ドォォォォォォーーーン!!!』
「話はここまでだな、やはり大人しく捕まってはくれなかったか」
馬車は止まり、皆外を見た。
「リヴァイ、お前はここに残れ。無駄死には嫌いだ」
「あぁ、するのもさせるのもな」
そう言うと、俺は立体機動装置を付けてすぐさま向かった。
エマは無事なのか。
到着すると、エマの無事そうな姿とエレンが取り込まれそうになっている姿が確認でき、そのままエレンを引き摺り出した。
アニ=レオンハートは硬い水晶体で覆われており、情報を引き出すのが不可能なのは一目でわかった。
これだけ犠牲を出しておきながら、お世辞にも作戦成功とは言い難かった。