第16章 重なる想い
「謙信様はコミュニケーション能力には著しく欠けてる部分があるから。
カリスマ性があると言えばそれまでだけど…対等に付き合える人間は少ない」
確かに…
現代にいたらコミュ障って言われそう
「だからこそ、謙信様と対等に付き合える信玄様を、俺を含めて春日山の人たちも尊敬してるんだ」
「ふふ。じゃあ佐助くんも数少ない、謙信様の友達だね」
友達なんて言ったら、謙信様に斬られそうだけど…
「それなら、乃々さんもね」
「えっ?!私…友達って言ってもらえるかなぁ?」
佐助くんの言葉に、お互い顔を見合わせて笑う。
「こんな風に…みんながこんな風になれたらいいのに……」
織田軍と信玄様や謙信様も…
「…そうだね。」
佐助くんの一言が、私の気持ちに寄り添ってくれているようで嬉しかった
「おい。お前ら。何こそこそ話してんだよ」
酔った別の家臣に絡まれていた幸村が逃げてきた
「お前ら、なんか怪しいんだよなー。同郷なのか、何なのか知らないけど…妙に親しくないか?」
幸村がじとっと私たちを見比べる
…う。
幸村がこうゆう顔する時って、しつこいんだよね…
「そもそも、同郷ってどこの国だよ」
「…え?それはあの……」
「…幸村。そんなに俺が乃々さんと親しくするのが嫌なのか?」
しろどもどろになる私とは対照的に、佐助くんが妙に色めいた、瞳で幸村を見つめる
「は?」
その瞳に幸村が眉間にしわよを寄せて後ずさる
「…そうか。すまなかった。幸村がそんなにまで、俺のことを…。大丈夫、俺は幸村のことズッ友だと思ってるよ」
「はぁーーーー???佐助!!やめろ!冗談でも無表情なのに、なんかその目、気持ち悪い!!!しかも…ず、ズットモってなんだ??」
幸村が恐怖に青ざめる
佐助くん…幸村のあのしつこい疑いの眼差しから逃れるなんてさすがだわ。