第16章 重なる想い
「確かに仲良くないと、一緒には住めないかも」
最高のライバルで、最高の友達なのかな
私も佐助くんの視線の先にいる二人を見つめた
「謙信様は信玄様のことを気に入ってるんだ。
あそこにある掛け軸を見て。」
佐助くんが指差す方を見ると
『風林火山』
と書かれている掛け軸が飾ってあった
「信玄様といえば、『風林火山』だよね」
誰しもが知る有名な言葉だ
確か…『疾きこと風の如く…』ってやつ
あれ…?でもここは謙信様のお城だよね?
謙信様といえば、『毘沙門天』?
「そう。あれは、武田家を象徴する孫氏の教えだ。城を奪われた武田の言葉を、城に中心に飾ったのは、他でもない謙信様だ。俺には、それが謙信様の無言の友情の証みたいに思える」
「そうだったんだ…」
あの二人にしか分からない、確かな絆があるんだ…