第19章 神の遣わし導き子
「ゴールドドラゴンは、どんな願いも叶えてくれるよ。だって、そのために長い道のりを歩くようにされてるんだから。中途半端な願いなら、途中であきらめちゃうでしょ?あきらめずにここまで来るんだもん。それだけ大事な願いってことよね」
「もちろん!でも俺一人だったら無理だった。みんながいるから、来れたんだ」
「でもさ、僕たちの前に来たレッドアイ族の男は、一人で来たんでしょ?」
「うん。傷だらけでボロボロだったらしいけど、それだけ強い意志があったんだって言ってた」
「今はその男は、ゴールドドラゴンな訳か」
「そう。そして私のお父さんでもあるの」
しばらく考えていたチョロ松が言った。
「さっきの虫系モンスターだけど、この辺りに巣があるのかもね。何もないのにあんな大勢で来るはずがない」
「「なるほど」」
「やっぱ能力はなくしてもらおう。動物系モンスターが攻撃するのだって、腹が減ってるか身の危険を感じた時か、縄張りに入られたかくらいだもんな」
「確かにそうだ。さっきのモンスターには、悪いことをしたな」
「蘇生しとく?」
「頼むよ、トト子」
「はーい」
トト子が蘇生魔法を唱えると、蘇生したモンスターたちは巣を守るため、戻って行った。
「無駄な殺生はしたくないからね」
「トト子さんはすごいのね。蘇生魔法が使えるなんて、そうそういないのに」
「ほんと、すごいわよね。しかもこんなに可愛いし」
トド子と○○にほめられて、トト子はご満悦だ。
「うふふー。そうでしょー?すごいでしょー?可愛いでしょー?」
すると一松がトド子の頭をポンポンした。
「え」
「お前だって、すごいよ。最悪命を落とす可能性もあるのに、その運命を受け入れてここにいるんだから。逃げることもできるのに」
「逃げるなんて、考えたこともなかったわ」
「俺がお前を自由にしてやる」
「……一松…」
トド子は一松に抱きついた。
「ばっ……!くっつくんじゃねぇ!!」
しゅんとなるトド子にそっと耳打ちする一松。
「二人きりになったらな」
「一松、大好き!!」
「馬鹿野郎!くっつくんじゃねぇっつってんだろうが!!」
視線を感じて振り返ると、みんながニヤニヤしていた。
「ツンデレ」
「ツンデーレ!!」
「見るな、てめぇら!!○すぞ!!」
その言葉すらも微笑ましい。