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淡雪ふわり【風強・ユキ】

第7章 夏の風 ―ユキside―



毎日毎日、蝉の大合唱が耳につく。
連日ニュースの話題に上がるのは、最高気温の更新に熱中症への注意喚起。
まさに茹だるような暑さの竹青荘では、いつ誰が熱中症になってもおかしくない。

「あっちー…。もう暑いしか言えねぇ…」

そろそろ昼飯でも食おうかと自室を出ると、台所の前で双子たちが何やら騒いでいる姿が目に入ってきた。

「おー、ユキ。丁度よかった!この灼熱地獄から脱出するぞ!」

俺に気づいたハイジが満面の笑みで声を弾ませる。

「ああ?どこ行く気だよ?」

「夏合宿だよ。白樺湖にな!」






と、いうわけで。
我々アオタケ一同は、ハイジの運転するレンタカーで白樺湖までやってきた。
何でも商店街の誰かが所有する別荘があるらしく、善意でそこを貸してくれることになったんだとか。



「相変わらずハイジの運転はスリリングだな…」

到着した先の別荘は、雑草が生い茂るコテージ。
年に一度しか使用していないというだけあって、室内には埃が溜まっている。
まずは全員で掃除…と言いたいところだが、王子は車内でリバースしたこともあり使い物にはならなさそうだ。
ハイジの暴走運転の被害者はいつも王子。
青白い顔で伸びている様子を気の毒に思いながら、まずは床の掃き掃除から始めた。


昼に到着した俺たちが掃除を終えたのは、夕方に差し掛かった頃。
キッチンで料理をしていたハイジが、コンロの火を止めた。

「よし。あとはルーを溶かすだけだ」

「いきなりカレーか。ベタなことを」

「あとは溶かすだけって。溶かせよ、勿体ぶんねーで」

掃除に疲れた俺とキングがボヤくと、ハイジはエプロンを畳みながら続ける。

「何を言っている。飯の前にひとっ走りだろ?」

「「はあぁ!?」」

甘かった。
今日は朝練だけで済むものかと思っていたが、そんな淡い期待は打ち砕かれた。

「俺はいいんたぞ。芋やニンジンをただお湯で煮込んだだけの汁でも。素材の味が楽しめることだろう。ちなみに、ルーの在り処は俺しか知らない」

クソ…本当に食えない野郎だ。
舞はハイジのことを爽やかイケメンか何かと勘違いしてねぇか?
こういうことする奴なんだよ、こいつは。


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