第3章 母親
それから数日後、移動教室の際中庭を通った時、ベンチで泣いている金髪の少女を発見した。間違いない、アリスだ。
リドルはどうしようか迷った末、取り巻き達を先に教室へ行かせると、驚かせないよう静かにアリスの傍に寄って行った。
「やあアリス、いったいどうしたんだい?」
リドルは努めて優しく話しかけた。泣いている女を相手にするのは好きじゃないが、こう言う時は優しく声をかけるのが鉄則だ。
いつも通りの優等生の仮面を被り、ベンチに座るアリスに目線を合わせた。
「リドル……お母様が、お母様が……」
アリスは大粒の涙を流しながら、握りしめていた手紙をリドルに差し出した。手紙は涙で滲んでいたが、何とか読み取れた。
そこには――アリスの母親の死を知らせる内容が書いてあった。