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イケメン戦国 《短編集》

第13章 「また会えるように」/武田信玄


安土城城下は今日もまた一段と寒くなっている。
こういう寒さを感じると冬だなぁと思ってしまう。

寒い中秀吉さんに頼まれたお使いを済まし、
そそくさと帰ろうとした矢先……。

「やぁ、そこにいるのは天女かい?」
「あれ?信玄様?」

聞き覚えのある声がして、
後ろを振り向いてみるとそこには信玄様がいた。
その格好はいつも通り前の合わせが大胆に開いていて、
寒くないのだろうか?と思ってしまった。

「偶然だな、こんなところで会うなんて」
「信玄様こそ…どうして安土に?」

いつも通り口説きそうな雰囲気を醸し出す信玄様に少し警戒しながら、
敵地であるはずの安土に信玄様がいるのが不思議でならない。

「いや、安土は品揃えがいいからな。
甘味を少々……な。」
「あ〜」

つまりは幸村にバレないようにお忍びで来たのだろうか。

「気にするな。
幸なら佐助と一緒に安土の隠れ家にいるぞ」

どうやら私が心で思っていたことはバレてしまったらしく、
私の疑問を解決するようにそう言ってくれた。

「そうなんですね……」

良かったと思ってしまった。
信玄様はまだ病は完治していないと佐助くんが言っていた。
でもこうして敵地にまで来て歩き回っているということは、
まだ元気なのだろう。

「…君は、優しいな」

ため息を吐きながら信玄様がそっと呟いたことが、
少し気になってしまった。
だから隣にいる信玄様を見上げてみる。

すると、
私を見つめて信玄様は優しく微笑んでいた。


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