刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第14章 それぞれの想い
執務室に重い空気が流れている。
あの後俺が連れていくと言って、私を鶴丸から奪うように抱き上げた大倶利伽羅さん。鶴丸に助けを求めて目で訴えたけど、鶴丸はにやにやしながら手を振ってどこかに行ってしまった。
そのまま執務室に連行され、それから大倶利伽羅さんは何も言わないで黙ったままだ。
「…」
「…」
な、なにか話さなければ…沈黙が気まずすぎる。何話そうかと思考を巡らせていると、大倶利伽羅さんが先に沈黙を破った。
「厠にでも行っていたのか」
「はい…トイレに行こうとしてたら、途中で鶴丸に会って連れてってくれました…」
「最初から俺に言えばいいだろう」
「大倶利伽羅さん、寝てるかと思って起こすのも悪いなって…」
「変な気を回さなくていい」
「…」
そう言われても、トイレごときで起こすのはやっぱり気が引ける…。
「それに、黙っていなくなるな…」
「ごめんなさい」
「…朝餉を持ってくる。待ってろ」
そう言って大倶利伽羅さんは執務室を出ていった。
大倶利伽羅さん、やっぱり私がいなかったから心配してくれたんだ…
暫くすると大倶利伽羅さんがご飯を持ってきてくれた。やっぱり手には二人分持っている。優しいな…