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【A3!】恋する劇団

第1章 ◆ありったけの愛を、君に。  碓氷真澄


私は、もう好きな人なんて作らない。

もうあんな馬鹿みたいな思いをするのはごめんだと。
そう、思ってるんだ。



「監督、今日も可愛い…」


「相変わらず真澄は監督の事好きだな」


「当たり前。愛してるし」


「…もー、いいから早く学校行きなさい!」



なのに、真澄くんは初めて会ったその時から、ずっと私を好きだと言ってくる。
愛してると伝えてくる。

その瞳はとても真っ直ぐで。
思わず、信じたくなってしまう。その好意を。気持ちを。


けれども、信じそうになる度に、あの時のことを思い出してしまって。



「そんなツれないところも可愛い」


「はいはい、いってらっしゃい」


「…行ってくる」



中々行こうとしない彼の背中を無理やり押して、ドアを閉めれば、寮の中は静寂な空間になる。

今日は皆仕事やら学校やら何やらで、出払ってしまっている。


私は特に出掛けるような予定も無いから、今日は次の秋組公演について、計画を立てるつもりだ。

細かくきっちり詰めていかないと、左京さんが怖いから…



「さて、やるか!」
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