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Suprême.

第2章 Début.


銀の髪を桜の花弁と風に靡かせながら、その少女は佇んでいた。

遠月茶寮料理学園_______。

半年ぶりに帰ってきたその場所へ、思わず口角が上がる。

ゆっくりと門を潜ると、始業式だからか生徒達が

其々の会場へと慌ただしく向かっていた。

その波に便乗して、少女__白澤 琥珀は始業式会場へ向かった。

通り過ぎる生徒が皆、此方を振り返る。

偶々目が合った生徒には、微笑んで会釈をした。

するとその生徒は、「白澤さんだ!」と驚いた様子で去って行く。

会場の控え幕の中に入ると、薙切 えりなが椅子に腰掛けていた。

彼女は此方を見ると、目を見開く。

「えっ、琥珀…!?帰ってきてたの!?」

と駆け寄って来る。

『うん、予定よりちょっと早く終わったから…』

へへ、と頬を掻く琥珀に、えりなは嬉しそうに微笑んだ。

「お帰りなさい」

『うん、ただいま!』

椅子に腰掛けてえりなと談笑をしていると、無礼な編入生の話になった。

赤髪の低俗な料理人が、編入試験でふりかけご飯を出したらしい。

『ふりかけ…』

「本当に信じられないわ!この私に、あんな品を出すなんて!」

ぷんぷんと怒っているえりなが可笑しくて、くすくすと笑ってしまう。

『入学許可したの?』

「まさか!そんな筈無いでしょう!」

『えぇー、面白そうな子だと思ったんだけどなぁ』

「あんな人は遠月には要りません!」

そうかなぁ、と返事をすると、「静粛に」という声が聞こえる。

如何やら始業式が始まったようだ。

「あ、行ってくるわね」

『行ってらっしゃい〜』

えりなが壇上に上がっていく。

「続いて、学年賞の授与に移ります。新1年生総代、薙切えりな」

「はい」

後ろ姿だけだけれど、えりなは桜を纏っていてとても綺麗だ。

バッジを付けて貰ったえりなが戻ってくる。

「続いて、式辞を頂戴致します。遠月学園総帥、薙切 仙左衛門様」

名前を呼ばれて、総帥が壇上に上がる。

相変わらずの鋭い眼光で生徒達を見渡すと、

「諸君、高等部進学おめでとう」と式辞を述べ始めた。
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