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ある世界の物語

第1章 はじまり


すると、急に腕を掴まれた。


『おいっ! お前は誰だ!! なぜこんなところに平民の女が居るんだ?!』


腕を掴まれたこと、話しかけられたこと、【平民の女】と言われたこと、いろんなことに驚いて、恐る恐る声のする方へ顔を上げた。


見上げて、顔を見てまた私は驚いた。


さっきまで自分が追いかけていた男の顔だったからだ。


『おいおい。人の顔を見て驚くなよ。』


「ひゃっ! ご、ごめんなさい!!」
「私は、この王国の下町に住む平民のユキです。」


『やっぱりだな。お前みたいな平民がこんなところへ来れたんだ?』
戸惑った様子で男はいった。


「えっと…」
今日の出来事すべてを話した。


男は苦笑いをしつつも頷いた。
『理由はわかった。俺のせいなんだな…』


私は強く頷いた。
そして少しホッとした。悪い人では無いようだ。
そう思い始めたとき…



『まぁいいか…ちょうど良いかもな…』
とボソッと呟いた。


私にはうまく聞き取れなかった。


そのあとすぐに
『けど。わりーな。すぐに家に帰してやることは、出来ねぇ。』
とばつが悪そうに男が言った。



「えっ!!なんで…?」
思っていることを口に出してしまった。



『すまねぇーな。それは言えね』

『とりあえず、黙っとけ。』

『今から王のとこに行くぞ!』

『なにもすんじゃねぇぞ!』


なにもわからないまま私はとりあえずコクコクと頷いた。それで助かるのならと思い


男に腕を引っ張られ無理やり立ち上がり、建物の中に進んでいった。








男が思い出したように話し出した。
『あっ!
 忘れてた。』
『俺の名前はアランだ。この国の騎士をしている。これから必要になるかも知れねぇから覚えとけ』




「アラン…」
私は小さく呟いた

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