第1章 貴方と永遠に歩んでいきたい『前編』❥伊達政宗
その日は1日中部屋にいた。
あの反物も手もつけられないままで。
そうして時間だけが過ぎていた時。
「おい、入るぞ〜?」
この声は...秀吉さん?
「はい、どうぞ」
そういうと秀吉さんが部屋の中に入ってきた。
「どうしたの??」
「いや。その。、お前が元気ないって噂で聞いてな...。なにか力になれないかなと思ってきたんだが...」
「大丈夫だよ、秀吉さん。ほら元気だよ!」
そういって私は自分の腕をぱんっと叩いた。
秀吉さんは何か言いたげだったが、
「そうか...ご飯はちゃんと食べろよ??あと、最近盗賊が出てるらしいから森には近づくなよ??」
「うん、分かった。ありがとう」
そう微笑むとまた秀吉さんは何か言いたげな顔をしたが、そっと部屋から出ていった。
(秀吉さんは相変わらず世話焼きだなぁ。)
そう思ってふっと笑いがこみあげたとき...
「ねえ、華、入るよ。」
(!)
誰だろう...
「はい、どうぞ」
そういって入ってきたのは...
「家康!?どうしたの??」
「あんたが元気ないって言うから来たんだよ」
ふわふわの猫っ毛を揺らして家康はそういった。
「なんで...」
「理由は聞かないけど。あんたご飯もちゃんと食べてないんでしょ。」
「!なんでそれを...」
「ほら、図星。」
「なにも聞かないけどさ、ご飯だけはちゃんと食べなよ。あんたが元気ないと、なんか...落ち着かない。」
「家康...」
「じゃあ、言いたい事言ったから俺はもう帰るよ。ちゃんとご飯食べるんだよ」
そう言い残して家康は出ていった。
(家康も秀吉さんも心配性だなぁ)
...でも今はそんな戦国武将達の優しさが心に染みる。
華の事をほんとに思ってくれているんだと短い時間の中ながら実感した。
そういう事もあっていくらか頭が冷えた私は...