第4章 そして過去へ…
こんな黄色いハンカチ、私持ってない…。
(…誰の?何で私のポケットに…)
でも、ちょうどよかった。
「坂井、ありがとうな
ハンカチ、ちゃんと洗って返すから…」
これがきっかけで、私達は付き合う事となり、三年後に結婚した。
「ご主人様、これで良かったのでございましょうか?」
執事は主の横で呟いた。
「リチャード、何か不満なのかね?」
「彩奈様を偽ってまで、やり直させる必要がございましたか?」
執事の苦言に主は苦笑いだ。
「あの娘は、ああでも言わないと納得しないのね
あのままでは、幸せになれないのね」
「お言葉ですが、本当に悪い方向へ向かう可能性もございました」
執事は更に苦言を言った。
「だから、お前に頼んだのね
ちゃんと手は打ったんだろうね?」
「はい、ちょっとした小道具ですが、役に立つと思います」
「それなら良いのね
私は何とか恩返ししたかったのね」
主は満足げだ。
「ご主人様、恐縮ですが果してそれだけでしょうか?」
「リチャード!
それ以上言ったら分かってるのね?」
「御意」
人はちょっとしたきっかけで右にも左にも向いてしまう。
夢夢、忘れる事なかれ…。
end