第7章 キャッホーな奴には少し早い待ち合わせ時間を教えておけ
皐月は春雨母船へ帰ってきて早々、あのバカ提督に呼び出された。
「やあ!待ってたよ、皐月さん。」
長机の上座に座る神威は随分と機嫌が良さそうだった。
それもそうだろう。彼の周りには山盛り積み重なった皿。基本お腹一杯にしておけば良い、と随分部下が優秀になった様だ。
「ねぇ、俺この席似合ってる?提督っぽい?海賊王っぽい?」
「あぁ、馬鹿っぽいな。」
皐月が来ても食べる手を止めず、ニコニコと話す神威。
それを彼女は呆れた様に見ながら、適当な席に腰掛けた。
「皐月さんもご飯たべる?用意させるよ。」
「いやいい。用件を話せ。」
腕を組んだまま、無駄な話はしないと冷たい態度をとる皐月に神威はすこし残念そうな顔をする。
「折角この前のデカイ任務一緒に行けると思ったのにさ。冷たいよね、皐月さんは。すっごい楽しかったよ?忍びって知ってる?」
「……いいから話せと言っているだろう。」
提督になった後、必要以上に皐月といようとする神威に彼女は少し警戒していた。バカバカと言われながらも、前のアホよりは使える頭を持っているというのもあるが、今彼はあの高杉と並んでいるのだ。
「いやさ、この前の任務は断られちゃったから。」
そう言いながら、手に持っていた骨を投げ、口の中の物を飲み込み、皐月の方へ身を乗り出して満面の笑みを浮かべる。
「デートしよう!地球で!」