第20章 日常8:パーティー…とは？

ちゃんと友達だと思ってる、って…

そう言ってくれたことがすっごく嬉しくて、僕は自然と顔の筋肉が緩むのを感じた。

だってさ、僕的にはずっとバイト仲間としか見られてないと思ってたから、お友達だと思ってくれてるってことはさ、一歩前進ってことじゃん？

当然顔だってにやけちゃうよね？(笑)

｢っつーことで、これからは友達としてよろしくな、“智くん”！｣

言いながら櫻井くんが右手を差し出してくる。

ってゆーか、今“智くん”って言った？
それも、すっごい独特なイントネーションでさ…

ねぇ、僕の聞き違いじゃないよね？

ああ〜ん、聞き返したいけど“もう一回言って”なんて、図々し過ぎ？

｢ほら、智も呼んで上げなさいよ｣

｢え、うん…｣

でもな…

いざ下の名前で呼ぶとなると、なんか照れちゃうんだけど…

僕は差し出された櫻井くんの手に自分の手を重ねると、スッと息を吸い込んでから、一気に吐き出した。

｢えと…、こちらこそよろしく、しょ、しょ、しょ、しょおくん…？｣

きゃー、言っちゃった…ってゆーか、呼んじゃったよ、とうとう下の名前で！

あーもぉ…、名前呼ぶだけでこんなにドキドキするなんて、もし告白…とかなったら、僕死んじゃうんじゃないかしら…

｢よし、二人の仲もバイト仲間から友達に進展した事だし、そろそろ寝るか｣

櫻井…じゃなくて、翔くんの隣で松本さんがサングラスを外し、大きな欠伸をする。

へえ〜、松本さんみたいにクールにしてる人も、欠伸とかするんだ？

なんか意外(笑)

…ってゆーか、ちょっと待って？

｢あの…、松本さんもお泊まり…なんですか？｣

徐に席を立ち、リビングの隅に置いたボストンバッグをゴソゴソ始めた松本さんに問いかけてみる。

すると松本さんは、当然とばかりにスウェットの上下を取り出し、僕が見ている前で着替えを始めた。

うん、ムキムキとまではいかないけど、程よく鍛えられた松本さんの身体、すっごく格好いい…♡

…って、見蕩れてる場合じゃなーい！