第8章 【Bハロ】ホワイト・バーチ【愛染健十】
わたしは誰かを待っている。
きっとそうだと思わないと日々を暮らせないのだ。
シラカバの木に囲まれた深い森の中、わたしは独り。
迷いの森と呼ばれる、誰も来ないこの森で独り暮らしてもう何年、いや何十年経ったのだろうか。
わたしは不老不死である、アルビノの魔女だ。
どこで生まれたか知らないが、物心着いた時にはここで魔術の材料にされていた。
爪や髪が早く伸びるようにとかけられた魔術が、アルビノのせいで効き過ぎてしまったようで、わたしは不死身となった。
一緒に暮らしていた魔女たちは皆老衰で亡くなった。
それも何年前のことか思い出せないくらい前だ。
私のことを気味悪がって、人の子はだれもこの森に近寄らなくなった。
わたしはただ、待っている。
自分を殺してくれるようなそんな何かを。