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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第145章 ◇第百四十四話◇囚われの身のお姫様【女型の巨人編】


あれから何日過ぎたのか、愛おしい人の迎えを指折り数えて待っている心の余裕のない私には分からない。
豪華な装飾品に囲まれた贅沢なほどに広い部屋で貴族の娘達が着ているようなドレスを纏い、たったひとりきりで、窓辺のソファに腰を降ろして、ただひたすら外を眺めている。
この部屋から出ることも許されず、窓は外から鉄格子をはめられていた。
囚われの身どころか、抜け殻のような状態で、ただひたすらリヴァイ兵長を想っている。

「…もっとカッコいいんだけどな。」

久しぶりに私から出た声は、愛おしい人に全く似ても似つかない似顔絵への文句だった。
数日前にルーカスが持ってきてくれた新聞記事には、調査兵団が民間人を殺害、団員全員に出頭命令が下ったと書かれてあった。
だが、一部の団員は今だ出頭を拒み逃亡中。その主犯が、似顔絵の主であるリヴァイ兵長なのだそうだ。
私が王都に連れてこられてから、調査兵団はとても大変なことになっているようだった。

(こんなところにいる場合じゃないのに…。)

必ず迎えに行くと言った本人も、こんなことになる予定はなかっただろう。
いや、リヴァイ兵長のことだから、何か悪いことが起こることくらいは予感していたのかもしれない。
下っ端兵士である私には知らされない情報がいくつも届いていたはずだ。
だから、私の手を放してー。
なんて、自分の都合のいいようにシナリオを考えては、いつか必ず迎えに来てくれると信じている。
結婚式の日程が、数日後に決まった今も、信じているー。

「ルーカスさんが、ウェディングドレスを一緒に選びたいって待ってるわよ。
 いつまで拗ねてるの?」

母親がやって来て、相変わらず窓の向こうに恋人を探す私を咎めた。

「本当に、拗ねてるだけだと思ってるの?」

新聞記事から顔を上げ、母親を見る。
すぐに目を反らした母親の横顔に、罪悪感が浮かぶ。
それならどうしてー。

「調査兵団の人達が殺人を犯したらしいじゃない。
 兵士長さんがその殺人の主犯なのよ。
 そんな人に娘を任せられるわけないでしょう。」

母親が、私の手から新聞記事を取り上げた。
そして、ゴミ箱の中に丸めて捨ててしまうと、窓辺に立って外の景色を眺め出す。
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