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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】


私の手を握りしめる手は力がこもって震えていて、それが喧嘩を吹っかけるための大袈裟でも何でもないとすぐに悟る。

「…っ、ごめんなさいっ。私、いっぱいいっぱいで、アニのこと傷つけちゃったからっ。
 それでまた、リヴァイ兵長のことまで傷つけるかもしれないなんて考えなくて…っ。
 でも、お願い…っ、嫌いに、ならないで…っ。」

焦って懇願すれば、リヴァイ兵長はゆっくり顔を上げて、困ったようにため息を吐いた。
それにまた焦った私が口を開こうとするより先に、リヴァイ兵長の手が私の腕を自分の方へ引き寄せた。
前のめりになった私の唇に、リヴァイ兵長の唇が重なる。
すごく、懐かしく思えたキスに、胸が苦しくなった。
でも、すごく安心もした。
それで分かった。
帰ってからずっと、私はリヴァイ兵長にキスしてもらいたかった。
もう大丈夫だよー、そう言って、本当は抱きしめてもらいたかった。
きっと、そうしてくれると思っていたんだ。
リヴァイ兵長ならきっと分かってくれる。
私がどんな無茶をしても許してくれる。
根拠もなくそう信じていて、それが、リヴァイ兵長を苦しめているなんて、気づきもしないでー。
短いキスは、私の大きな過ちを教えてから、ゆっくり唇が離れて終わった。
そして、リヴァイ兵長は困ったように眉尻を下げて、私の頭を撫でる。

「嫌いに、なれなかったからこうしてんだろ?
 いっそ、嫌いになっちまった方が楽なくらい、俺はお前に惚れてるんだ。
 だからもう、心配させないでくれ。心臓がいくらあっても足りねぇじゃねーか。」
「ごめ…っ、ごめんなさい…っ。私、リヴァイ兵長の優しさにっ、甘え過ぎてました…っ。」

何度も何度も謝る私を、リヴァイ兵長は隣に座ってから抱きしめた。
お互いに、自分ばかりがツラいと思っていた。
だから、優しく出来なかった。
私が談話室で、ひとりで拗ねてるとき、愛おしい人を傷つけてしまった事実を嘆くことしか出来ないでいたとき、リヴァイ兵長はひとりで、2人の関係をどうすれば守れるか考えてくれていた。
お互いに何が悪かったのか、自分が犯した間違い。
私が受け入れるのが怖くて目を反らし続けようとしたことと、ちゃんと向き合ってー。
だから私はやっぱり、何度も何度も謝った。
その度に、リヴァイ兵長は強く私を抱きしめたー。
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