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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】


クリスタを救うために正体をバラし、ライナーとベルトルトが逃げていくときも調査兵達の味方に付いて戦ってくれた。
でも、帰ってきてからのエルヴィン団長達の尋問に対して、ユミルは多くは語らなかった。
自分が巨人化出来ること、そして、敵は壁の外にいる人間。
彼女が答えたのはそれだけだ。
後は、都合よく記憶喪失で忘れてしまっているそうだ。
ユミルは何か隠しているのかもしれない。
敵なのかもしれない。
でもー。

「でも、私はユミルを許すことに決めたの。」
「許す?」
「大切な情報を黙り続けていたことも、何かを知っていて黙り続けてるのだとしても、
 私はユミルを信じるし、許し続けるよ。これからもずっと。」
「やっぱり、アンタはバカだね。」
「仕方ないよ。だって、私は何も知らないから。
 ユミルが何を考えているのか、アニやライナー、ベルトルトがどんな想いを抱えていたのか。
 何も知らないのに、憎んで、嫌ったりするのは嫌なの。」

思い出すのは、アニの素っ気ない表情と優しい瞳。
そして、忘れられない女型の涙。
あのとき、女型の巨人に向かって、私はひどい言葉を投げつけた。
女型の巨人が私達を人間だと思ってないみたいで許せなかった。
でも、アニが女型の巨人だって分かったとき、気づいてしまった。
知性のある巨人の中にいる人間のことを、私も人間だと思っていなかった。
だから、どんなにヒドイ言葉を投げつけたって許されると信じていた。
彼女は人間だと知っていたのに、心のある人間だと知っていたはずなのにー。
あのとき、心がなかったのは私の方だったのだ。
それを、女型の巨人が犯した罪を考えれば仕方のないことだと言ってしまえばそれまでなのかもしれない。
でも、そうやって、相手を憎んでは、傷つけられて、だからまた憎んでは、また深い傷を負ってー。
そんなことを続けていれば、憎しみの輪が広がっていくだけだ。
そんな世界では、誰も幸せにはなれない。
きっと誰もが、幸せを願っているはずなのに、どんどん不幸になるばかりだ。
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