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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第132章 ◇第百三十一話◇互いの胸の内【女型の巨人編】


私の中で膨れ上がった欲を何度も吐き出したリヴァイ兵長は、さっきまでの熱情は嘘みたいに、平然とした顔をしてシャツに腕を通していた。
ずっとずっと、あの時間が続けばいいのに。
抱かれてるときだけは、私達はひどく情熱的に愛し合っている気がするからー。

「リヴァイ兵長。」

シャツを着たリヴァイ兵長の背中に、裸のまま抱き着く。
久しぶりに、自分から抱き着いた気がする。
リヴァイ兵長が驚いたように息を呑んだのは、きっとそのせいだ。

「どうした?」

お腹のあたりにまわる私の手にそっと触れたリヴァイ兵長の声は、とても優しかった。
あぁ、もしかしたら、最初からこうして素直になればよかったのかもしれない。
離れたくなくて、放したくなくて、抱き着く腕に力が入る。

「好きです。」
「俺は、愛してる。」
「え?」

普段、そんなこと言わないから驚いて、思わず緩んでしまった手をリヴァイ兵長に掴まれた。
気づけば、背中に抱き着いていた身体を腕の中に抱きすくめられていた。

「何を驚いてんだ。愛してねぇとでも思ってたか。」
「…いつもは、言わないから。」
「言わなくても、思ってねぇわけじゃねぇ。
 それに、俺は元々結構言ってる。」
「そうですかね…。」
「そうだ。それで、お前は、好きなだけか?愛してねぇのか。」

そっと腕を離したリヴァイ兵長が、私の両頬を優しく包んで顔を上げさせた。
私の目をまっすぐに見つめる今のリヴァイ兵長になら、どんな嘘もつけないと思った。
だって、その目が、史上最悪の悪党の最低な嘘にだって騙されそうなくらいに、不安に揺れていたから。
あぁ、リヴァイ兵長も不安だったんだー。
そう思うと、少しだけ安心した。

「愛してますよ。誰よりも愛してます。」
「ならよかった。」

どちらからともなく瞳を閉じて、唇が重なる。
愛してる。愛されている。
それだけでいい。それだけでいいじゃないか。
私達は幸せだ。
でもどうしてだろう。
漠然とした不安は消えないまま、涙が一粒、頬を伝うー。
私達はお互いに、相手の幸せを願いすぎたのかもしれない。
だから、あなたも私も、自分の幸せが、分からなくなってしまったー。
あなたと私が、それに気づいていてもいなくても。
明日の命も分からないこの残酷な世界で、自分を殺せるほどに愛しすぎてしまったこと。
たぶん、それが一番の問題だ。
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