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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第121章 ◇第百二十話◇母の愛と優しい腕【女型の巨人編】


部屋に戻った私は、ソファに倒れ込む。
父にお酒に付き合わされたリヴァイ兵長は、全く酔っぱらった様子もなく、女物で溢れた部屋を歩き回り始めた。

「お腹が破裂しそう…。」

ソファに横になった私は、自分のお腹を擦りながら、ゆっくり息を吐く。そうしていないと本当に吐きそうだ。
娘が旦那を連れて帰ってくると喜んだ母が披露してくれたもてなし料理の数々はとても美味しくて、とても食べきれる量ではなかった。
普段は寡黙な父も、リヴァイ兵長と話しているうちにだんだん饒舌になっていった。
お酒の力もあったのかもしれないけれど、とてもいい青年だとしきりに繰り返していて、リヴァイ兵長の方が困っていたくらいだ。
兄弟達も、人類最強の兵士が家にいると盛り上がっていたし、結婚していると嘘をついて、調査兵として命を懸けて戦っていることを黙っている私だけれど、久しぶりに少しは親孝行、家族孝行が出来たんじゃないかと思っている。
それもこれも、裁判のためにストヘス区に出向することが決まったときに、リヴァイ兵長が、私の両親に顔を出しに行こうと言ってくれたおかげだ。
明日も午前中は会議があるリヴァイ兵長は、元々泊る予定だったから、それならーということで両親の住む家に一泊することになった。
それも、私が家族と一緒にいたいだろう、と気を利かせてくれたリヴァイ兵長のおかげだ。

「面白れぇもんを見つけた。」

リヴァイ兵長が意地悪く言って持ってきたのは、見覚えのある絵本だった。
確かに、お気に入りの絵本ではあったけれど、面白いかと言われたらそれは違うような気もするし、そもそもリヴァイ兵長の好みの本だとも思わない。
不思議に思いながら身体を起こした私の隣に、リヴァイ兵長が腰を降ろす。
そして、面白いというページを開いて見せてくれた。

「あ…。」

拙い文字で、勝手に物語が書き変えられていた。
それは誰がどう考えても、幼い私の仕業で、それをリヴァイ兵長は面白れぇと言ったのだと理解する。

「私も忘れてた恥ずかしい過去を見つけ出さないでください。」
「いいじゃねぇーか。これは持って帰って、調査兵団の図書室に補完しよう。」
「やめてくださいよっ。」
「冗談だ。」
「リヴァイ兵長の冗談は、分かりづらいんですよっ。」

私をからかうリヴァイ兵長は、至極楽しそうだ。
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