• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第110章 ◇第百九話◇命懸けのメッセージ【恋の行方編】


ミケよりもだいぶ軽いジーニーの身体は、背中を壁にぶつかって漸く止まった。
壁に背中をぶつけたときに肺をやられたのか、ジーニーは身体を丸めて苦しそうに咳き込む。
口の端は切れ、頬は赤く腫れていた。
でも、彼女を心配する者は、誰もいなかった。
裏切者へ向けられた調査兵達の殺気に満ちた視線は、ジーニーの取り巻き達にも向けられていた。
次は自分達が同じように殴られる。いや、殺されるー。
彼女達は真っ青な顔で、脚を震わせていた。

『ゲルガーさん、この人です!僕が聞いた裏切者の声!
 思い出しました。被験体が殺されたときにさんを見たって嘘を吐いた
 あのときの声でした!!あの雨の日に兵団服を渡していたのは!』

アルミンが裏切者の声の持ち主を思い出した。
だから、ジーニーの言葉が嘘だと確信したようだった。
調査兵団の中に混じってを殺そうとしたルーカスの協力者がいることは、リヴァイも知っていた。
その誰かは、を攫った男達に調査兵団の兵団服を渡し、リヴァイの部屋の扉の下に、モーリから託された手紙を置いた。
そうやって、を殺そうとしたー。

「お前らが、被験体も殺しただけに飽き足らず、も殺そうとしてたってのか…。」

ゲルガーは、信じられないと言う顔で呟くと、ジーニーの取り巻き達が慌てた様に騒ぎ始めた。

「違います!!私達、被験体は殺してないっ!それは他の誰かがー。」
「そんなことどうでもいい。
 言え。をどこに置いてきた。」

壁の下で、いまだに悶え苦しむジーニーを、リヴァイが冷たく見下ろす。
今すぐにでも、何度でも、殴りつけてやりたいと震える拳を必死に堪えた。

「リヴァイ兵長が、私よりあの女なんて選ぶから…。」

漸くジーニーは口を開くと、ゆっくりと身体を起こしリヴァイを見上げた。

「あの女だって、リヴァイ兵長なんて選ぶからいけないのよ。
 王子様に頼まれただけよ。自分を選ばないバカな女はこの世から消してくれって。
 私はアイツに言われた通りにやっただけ!何も悪くなー。」

リヴァイに胸ぐらを掴まれ、怒りのままに壁に背中を叩きつけられたジーニーが、また苦しそうに息を切った。
またー。

/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp