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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第109章 ◇第百八話◇ただの悪い夢であれ【恋の行方編】


彼らは、リヴァイを見ると、口を噤み、拳を握った。
その全てが、リヴァイの瞳を険しくさせていった。
ミケだけが、冷静な表情で事実を淡々と告げようとしているようだった。

「リヴァイ、君に話さなければならないことがある。」
「その話の内容によっちゃ、俺は今からお前をぶっ殺す。」
「帰還中、がはぐれたようだ。
 我々もカラネス区に戻ってから班員に聞かされてー。」

最後まで言わせては貰えず、調査兵団の中でも特に大柄なミケの身体が数メートル後ろに飛んだ。
倒れ込んだミケは、殴られたときに切れた口の端から血が流れていた。
口元を拭いながら、ミケがゆっくり上半身を起こす。
そこへ、リヴァイの重たい拳がもう一発、お見舞いされる。
そして、鬼と化したリヴァイがもう一度振り上げた拳は、エルヴィンに止められた。
兵舎に戻ってすぐにのことを報告しに行った兵士が、エルヴィンを連れて来たようだった。

「離せ、エルヴィン。俺は今からコイツをぶっ殺さなきゃならねぇ!!」
「やめないか、リヴァイ。
 ミケは何も悪くはないだろう。」
「あぁ、そうだな。悪いのは巨人だ。どうせ、お前はまたそう言うんだろう。
 だがな、そんなこと、どうだっていいんだ。どうだって…!!」

怒鳴るリヴァイの声は震え、振り上げた拳をぶつける場所を奪われたまま、ミケを睨みつけ続けた。
上半身を起こしたミケは、口の端から流れる血を拭う。
その手に隠れて、唇を噛んでいるのだって分かっている。
知っている。
悪いのは、ミケではない。
理解っている。

『心配するな、リヴァイ。は必ず生きて連れて帰る。』

カラネス区から出発する前、ミケは確かにそう言った。
だからって、今ここで嘘つきだと罵るつもりはない。
ミケの悔しさも、死ぬほど責任を感じているんだろうということも、分かってしまうくらいに長い間、共に戦い過ぎた。
リヴァイは、手首を掴むエルヴィンの手を、乱暴に振りほどく。

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