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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第109章 ◇第百八話◇ただの悪い夢であれ【恋の行方編】


執務室兼自室から出たリヴァイは、談話室へ向かっていた。
廊下の様子からするに、たぶんまだ壁外任務に向かった調査兵達は帰ってきていない。
そもそも、この霧と雨では、本当に今日帰ってくるかどうか怪しい。
もしかしたら、ミケが明日の帰還にすると判断しているかもしれない。
でも、明日が晴れるとも限らない。
だから、今日帰ってくるかもしれない。
談話室の窓からなら、兵門がよく見える。
そこから、壁外任務から帰還する調査兵の姿を待っていようと考えた。
自室にいても、悪い夢を思い出すだけだったからー。

「どうしよう…。最悪だ。バラバラだなんて、本当に最悪だ…。」

談話室の扉に触れようとしていたリヴァイの手が止まった。
中から漏れ聞こえてきたのは、ハンジの声だった。
一体、ハンジは何をしでかしたのか。
付き合いの長いハンジが、何かをやらかすのなんてよくあることだ。
でも、今だけは、それが何なのかを考えたくないと思った。
さっきの悪夢が、まるで現実に起こったことなのだとリヴァイの記憶を塗り替えようとしていくような嫌な感覚が、金縛りのように身体を扉の前に縛りつける。

「きっと、話せば分かってくれますよ。
 さんだって、怒らないですよ。」
「怒るよっ!それにが怒らなくたって、リヴァイに殺されるっ!!
 どうしよう、どうしよう…っ。」
「…バラバラですもんね。」
「あぁ…、バラバラだ。」

気づいたら、談話室の扉を蹴破っていた。
大きな音に気づいて驚いた顔で扉を見たのは、ハンジだけではなかった。
モブリットとリヴァイ班、104期の新兵も一緒だった。
そして、彼らは一様に、鬼と化したリヴァイの姿に気づき、顔色を真っ青にした。

「おい、はどこだ。何があった。」

怒りのまま歩み寄り、リヴァイは、ハンジの胸ぐらを掴み上げる。
体格差のある2人も、リヴァイの気迫の前では、ハンジの完敗だ。
怒りに狂うリヴァイの手が震える。
頭の中から、あの悪夢が消えない。

「…本当に、ごめんって。」
「だから、何を謝ってんだ、てめぇは。」

謝るなー。
リヴァイの眉間に皴が寄る。
聞きたくない。
が死んだなんて、そんな話なら聞きたくない。
謝るな、そんなバカみたいな謝罪は聞くつもりはない。

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