第14章 ◇第十三話◇紅茶【調査兵団入団編】

天気も良く気温もちょうどいい今日は、カフェのテラス席にはもってこいだった。
向かい合って一緒に紅茶を飲む相手が、背が高くてイケメンで優しい素敵な人だったら、だけれど。
最高のシチュエーションも、相手次第で最高にも最低にもなるのだと、私は今日ひとつ学んだ。

「私の買い物みたいになっちゃって、お待たせしてすみませんでした。」
「自覚があるならさっさとしやがれ。」

リヴァイ兵長のティーカップの持ち方は独特だ。
ティーカップの淵を上から包むように持って紅茶を飲むリヴァイ兵長は不機嫌の塊だ。
今日の休日の過ごし方がよほどお気に召さないらしい。
その原因の一端である自覚は十分にある。
だから、自覚があるから謝ったし、このカフェだって、本当はリヴァイ兵長なんかに教えたくないくらいのお気に入りの場所で、それでも申し訳ないと思ったから、お詫びさせてほしいと言って私が連れてきたんじゃないか。
こんなことなら連れてこなければよかった。

「あ～…、やっぱりあの天使の羽のティーカップ買えばよかったなぁ…。」

あのお店で見た可愛いティーカップのことが忘れられず、無意識に口に出ていた。
あ、と思ったときには時すでに遅しで、リヴァイ兵長と目があった。

「買えばよかったんじゃねぇか。」
「無職の私はリヴァイ兵長みたいにお金も持ってないし、
　調査兵になれても下っ端の私のお給料なんて雀の涙なんです。」
「それは残念だったな。」

当然だが他人事のリヴァイ兵長は、興味なさそうに言って紅茶をすする。