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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第14章 ◇第十三話◇紅茶【調査兵団入団編】


久しぶりに歩くトロスト区は、私の知っている故郷の姿とはまるで違っていた。
私達が向かっているお店のある内門周辺はかろうじて街の様子を残しているが、外門のあたりは巨人に踏み荒らされて人の住めるような状態ではない。
今、駐屯兵団と元トロスト区の住人が一丸となって復興作業にあたっているが、元の姿を取り戻すのにはまだまだ時間がかかるだろう。

「どこ行ってんだ。ここだ。」

リヴァイ兵長に声を掛けられ足を止めた。
前だけを見て歩いていたから、お店を見過ごしていたらしい。
私を待つこともせずにさっさと店内に入ってしまうリヴァイ兵長の背中を追いかける。

「わぁ…!」

初めて入ったお店だった。
お洒落な店内。壁に沿うように置かれた棚には、所狭しと紅茶やコーヒーの袋が並べられていて、圧巻だ。
中央に置かれている棚には、まるで宝石でも飾るように瓶詰のコーヒー豆が並べられている。
たくさんあるが、全部種類が違うらしい。
こんなに素敵なお店だと知っていたのなら、もっと早く来たのに。巨人が来る前に―。

「いつものをくれ。」
「はいよ。おや?そこにいるのはリヴァイの女かい?」
「コイツはただの部下もどきだ。」
「なんだ、ようやく人類最強の兵士にも春が来たと思ったのによぉ。」
「くだらねぇこと言ってんじゃねぇ。」
「恋人連れなら、俺からの祝いで値引きしてやったんだがなぁ。」
「…そういうことは早く言え。」

ニヤニヤしている店主とリヴァイ兵長が何か話していたが、私は夢中で店内を見渡していた。
紅茶葉やコーヒー豆を入れた袋のラッピングが可愛くて、まるでお菓子の詰め合わせみたいでワクワクする。

「おい、帰るぞ。」
「え、ちょっと待ってください!もう少し見させてくださいっ。」

また私を置いて行こうとする冷たい背中を呼び止めると、リヴァイ兵長はこれでもかというほどに面倒くさそうな顔をして戻ってきた。
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