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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第102章 ◇第百一話◇花占い【恋の行方編】


「で、さっきのあれはなんだったんだ。」

話題を振ってくれたのは、リヴァイ兵長の方だった。
でも、地面に咲く花へ向く視線から、あれというのが何かを嫌でも理解する。
沈黙が続くのも嫌だけれど、その話題に触れるのも、嫌だ。

「…何でもないです。」
「俺の気持ちを占ってたのか。」
「…っ!?気づいてたなら、聞かないでくださいよ…。」

折り曲げた膝を両腕で抱き寄せ、顔を埋めて隠す。
もう本当に恥ずかしいし、最悪だ。
ずっとずっと、リヴァイ兵長の恋人でいるために、大人なリヴァイ兵長に釣り合う大人の女性になって、大人の恋をしないといけないのにー。
このまま地面に穴を掘って潜って、冬眠したい。
暖かい春が来るまで、隠れていたい。

「昔、似たようなことをやってるやつを見たことがある。」
「…昔の恋人ですか?」
「なんだ、嫉妬か。」

埋めた顔を横にずらすと、口元を意地悪く歪めたリヴァイ兵長と目が合った。
嫉妬だ。すごく、ものすごく。
今、リヴァイ兵長の頭に、ほんの少し、たとえば一瞬でも、昔の恋人の切ない横顔が浮かんだなんてー。
そんなの、想像もしたくない。
でもー。

「聞いてみただけです。
 もうお互いにいい大人なんだから、昔の恋人がいない方が不自然です。」

大人ぶって、平静を装った。
いちいち過去にまで嫉妬して、束縛するような女にはなりたくない。
リヴァイ兵長に重たいと思われたくない。
そんな女じゃ、なかったはずなのにー。

「妹みてぇなやつだ。昔の女なんてとっくに忘れた。」

リヴァイ兵長が、私の髪をクシャリと撫でる。
その仕草が、いつもならすごく嬉しかったはずなのに、まるで拗ねた子供をあやしているみたいで、悲しくなる。
私のヤキモチなんて、見透かされているみたいでー。
リヴァイ兵長なら、もっと素敵な大人の女性と恋をすることだって出来るのに、どうして私なんかとー。

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