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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第99章 ◇第九十八◇真相を握り潰すなら貴方のため【恋の行方編】


本当に大したものだ。
あのルーカスという男の執事は、本当に優秀だった。
ハンジの自慢のモブリットの力を持ってしても、証拠どころか、何を裏で操ったのかという話すら見つけることは出来なかった。
だからこそ、爆弾事件でもを囮にするしかなかったくらいなのだ。
出来たのは、貴族界で最近起こった事件を調べることくらいだった。
そして、博打を打つしかなかった。
あそこで、ヴェスタープ伯爵の失脚の件が外れていた時の策も考えていたにしても、それがうまくいくとは限らない。
うまくいかなければ、はきっと、もう二度と兵舎に戻ってくることは出来なかっただろう。
怖かったはずだ、すごく。不安だったはずだ、ものすごく。
でも、ハンジ班で真夜中に集まって、計画を立てているとき、彼女からそんな雰囲気が漏れたことは一度もなかった。
むしろ率先して、リスクは伴っても、成功報酬の大きな作戦をやりたがってー。

「でも、この作戦では真相は闇に葬られたままだ。
 は本当にそれでよかったの?」
「いいんです。ルーカスを捕まえることが出来るとも思えないし、
 それに、私は、リヴァイ兵長の名誉と居場所さえ守れたらそれでいいから。
 …最低ですよね。たくさんの人が死んだのに、私はリヴァイ兵長のことしか考えてない。」

窓の外を眺めるは、ハンジに隠れて唇を噛んでいた。
髪で隠した横顔が、悲しそうに震えているのに気づかないほど、上官として頼りにならないつもりもないのだ。
ハンジは何も言わず、の手をギュッと握った。
弱弱しく握り返してくるその手に、胸が締め付けられそうになる。
を最低だとは思わない。
その作戦に乗ったハンジ班みんな、気持ちは同じだった。
選んだだけだ。自分の大切なものを、助けたい人を、後悔しない選択をしただけだ。
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