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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第95章 ◇第九十四話◇幸せな一日の、最初の日【恋の行方編】


隣に座るリヴァイ兵長に抱きしめられると、甘くて苦い紅茶の香りがふわりと私を包みこんで、漸く安心する。
よかったー。

「夢じゃなかった…。」
「あ?」
「昨日があんまり幸せ過ぎて、あれは全部夢だったんじゃないかって。
 リヴァイ兵長に、そんなこと言ってないって言われたらどうしようって思ってー。」
「バカか。」

呆れた様に言って、リヴァイ兵長は私を抱きしめる腕に力を込めた。
少し痛くて、やっぱり夢じゃないーと、私は幸せを噛みしめる。
今朝、目が覚めたときは、輝いて見えた世界も、リヴァイ兵長の執務室兼自室の扉の前に立つと、不安が霧を作った。
部屋に入るときも、顔を見たときも、私はどんどん自信をなくしていってー。
掃除が終わった後だって、本当は書類仕事をしたかったわけじゃない。
私だけ恋人のつもりだったらー、そう思ったら怖くなって、普段通りを装ってー。
幸せ過ぎると怖くなるー、昔読んだ小説にそんなフレーズがあったのを思い出した。
その意味を、私は漸く理解する。
本当の幸せを知ってしまったから、失ってしまったときのことを想像して怖くなるのだ。
もう、元の日常には、戻れないからー。

「ずっと、好きです。」
「知ってる。昨日も聞いた。」
「何度だって言いたいんです。
 リヴァイ兵長は?」
「昨日、言った。」

私の髪を優しく撫でて、リヴァイ兵長の顔が近づく。
そして、重なる唇が、愛を語る。
私の最初の、幸せな一日が、始まったー。
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