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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第95章 ◇第九十四話◇幸せな一日の、最初の日【恋の行方編】


「リヴァイ兵長は、調査兵団に残れますよね?
 悪いこと、何もしてませんもんね?私を助けてくれただけですもん。」

私の欲しい答えをくれますよねー。
私の目は、きっとそう言っていたに違いない。
懇願するように見上げる私の瞳を、エルヴィン団長は反らさなかった。

「2週間後、リヴァイの体調を見てストヘス区へ出向する。
 そこで、進退が決まる。おそらく…、事態をおさめるためにも
 リヴァイには、兵士を退いてもらうことになるだろう。」
「そんな…っ。リヴァイ兵長は、人類にとって最も大切な兵士の1人ですっ!
 リヴァイ兵長がいなくなったら、人類の未来もなくなりますっ!
 世間が何と言おうとっ!それはエルヴィン団長だって知ってー。」
「分かってるさ!」

エルヴィン団長に食って掛かる私の胸前に腕を伸ばし、制止したのはハンジさんだった。

「エルヴィンが、一番分かってる。
 彼を引き抜いて、今日までずっと一緒に戦ってきたんだから。」
「…申し訳、ありません。」

私は一歩さがり、頭を下げた。
その頭をエルヴィン団長が優しく撫でる。

「リヴァイのために怒ってくれて、ありがとう。
 そうして、これからもアイツを支えてやってくれ。」
「私は…、何も、出来ません…。
 守られるばっかりで、いつも…、何も出来ない…っ。」

目を伏せ、私は唇を噛む。
母親にも言われた、支えろー。
どうやって、私なんかが、彼を支えられるというのか。
ただそばにいるだけしか出来ない。
それだって、私の方が、幸せにしてもらっているというのに。
どうやってー。

「そばにいて、ただアイツの好きなように君を守らせてやってくれ。
 男ってのは、それだけで、自分の価値を見出せる単純な生き物だ。」

エルヴィン団長は、最後にクシャッと髪を撫でると、ハンジさんとミケ分隊長を引き連れて、新聞記者が集まって騒がしい兵門へと消えていく。
乱れた髪に触れながら、私は、支えるという言葉の意味を考えた。
必死に、必死に。
必死にー。
私はもう、守られるだけは、御免だー。

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