• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第95章 ◇第九十四話◇幸せな一日の、最初の日【恋の行方編】


郵便所に向かう途中で、ハンジさんと出くわした。
これから出張へ向かうところのようで、エルヴィン団長とミケ分隊長も一緒だった。
最近、彼らは、リヴァイ兵長の件でストヘス区へ出向させられていることが多い。
王都地下街のゴロツキだったリヴァイ兵長を引き抜いて調査兵団に入団させたのは、その頃はまだ分隊長だったエルヴィン団長だったとペトラから聞いた。
その頃から調査兵団で精鋭として力を発揮していたハンジさんとミケ分隊長も、リヴァイ兵長の素行について説明をするために一緒に出向させられているのだろう、とエルドも言っていた。
リヴァイ兵長は、何も悪くないのにー。
人類のために、命を懸けて戦ってきただけなのにー。

「おはようっ。
 今日は朝から、兵舎は君とリヴァイの話題で持ち切りだね。」

ハンジさんがからかうように言って、私の髪をクシャクシャにする。
一気に蘇る談話室での一コマが、どんな噂か、聞くのも恥ずかしくさせて、私は誤魔化すように笑いながら、髪を直すことに集中した。

「まぁ、最近は暗い話題ばかりだったから、
 これで兵舎の中も明るくなるのなら、有難い。」

今度はミケ分隊長が言って、私の頭にポンと手を乗せた。
その隣で、エルヴィン団長が訊ねる。

「どこに行くんだ?」
「手紙を出しに行くところです。
 母が心配して手紙を送ってきたので、その返事を。」
「あぁ…、そうか…。 
 君のご両親にも心配をかけて、本当に悪いね。」

ハンジさんは申し訳なさそうに言って、頭を掻く。
この世界は本当に不思議だ。
本当に悪い人は謝らないのに、何も悪くない人が謝るなんて。
何も悪くない人が、責められることになるなんてー。

「リヴァイと別れて、帰ってこいとでも言われたか?」

エルヴィン団長が、珍しくからかうように言う。
いや、きっと、冗談にして、確かめようとしただけだろう。
私を見下ろす瞳は、いつものように、嘘を見抜かないと言っているから。

「むしろ、好きな人を死ぬ気で支えなさいって言われましたよ。」

私も冗談交じりに、でも、嘘は吐かずに答えた。
/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp