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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第84章 ◇第八十三話◇愛しい騎士を悲劇から救って【恋の行方編】


流れる涙は、リヴァイ兵長に忘れられたくないと泣いていた。
ずっと、ずっと、一緒にいたいとー。
でも、そんな我儘な願いを無視をする選択肢しか、私には残されていなかった。

「っ!勝手なこと言ってんじゃねぇっ!!」
 
リヴァイ兵長の怒鳴り声が廃工場に響いた。
よかったー。
それだけ大きな声で叫べるのなら、まだ少しは余力が残っているということだ。
兵舎に戻れれば、調査兵団の優秀な医療兵士が助けてくれる。

「そうだぜ?あの男は、お前のことなんかすぐ忘れちまうような冷酷なヤツだ。
 だから、自分の子分を殺した男の下でのうのうと生きてられる。
 そんなやつのために、お前は死ぬのか?」
「…自分より、大切な人なの。お願い…、もう、傷つけないで…。」
「健気だねぇ。あの野郎には、もったいねぇ。」

モーリは哀れそうに私を見下ろすと、銃口を私の頭に向けた。
そっと閉じた瞳から、最後の涙が零れ落ちる。
あの物語の結末は残酷で、私はいつも母が最後まで読むのを嫌がっていた。
だから、無意識に結末を忘れようとしていたのだろう。
でも、私は、誰よりも優しくて、強い騎士の勇敢で壮絶で、そしてとても悲しい最期を思い出せた。
騎士は、最後の戦いで、悪魔が化けた王子様の魔の手からお姫様を守るために死ぬのだ。
そうするしか、お姫様を守ることが出来なくて、騎士は躊躇わずに自分の命を捨てた。
そして、お姫様はそのときはじめて、自分の命を懸けて助けてくれた騎士を愛していたことに気づいてしまう。
泣きながら、騎士の亡骸にキスをするお姫様の絵が悲しくて、私はいつも最後に泣いていた。
でも、ここは、絵本の世界ではないし、私はお姫様なんかじゃない。
そして、私は、自分が本当は誰を愛しているのかもちゃんと分かってる。
これはあの悲劇の物語ではない。
私の、私だけの、恋の物語ー。
だからー。
遠くから雷鳴が轟く。
悪魔の叫びのような恐ろしい轟音が、愛しい人が呼ぶ私の名前をかき消した。
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