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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第78章 ◇第七十七話◇絵本の世界へようこそ【恋の行方編】


「おい、どうした。」

リヴァイ兵長の声にハッとして、私はようやくチークタイムを踊る貴族たちの中で呆然と立ち尽くしていることに気づく。
リヴァイ兵長の顔を見ると、私を襲っていた恐怖が幻だったように思えてきた。
そうだ、そうに違いない。
だって、どうして、ルーカスの笑みを見て怖くなるなんて、そんなのおかしい。

「…なんでも、ないです。」

私は首を横に振った。
ルーカスに感じた恐怖心が嘘だと、信じたかった。
今もなぜか消えない、得体の知れない不安も、嫌な予感も、ただの考え過ぎだとー。
でも、そんな願いはすぐに打ち砕かれることになる。

「逃げろ!」

唐突にリヴァイ兵長が鬼の形相で叫んだ。
わけもわからないまま、私はリヴァイ兵長に腕を引かれた。
それと同時に広い会場を揺らすほどの大きな爆発が起きた。
体勢を崩した私を抱きとめてくれたリヴァイ兵長の肩越しに、さっきまで私が居た場所に、天井で輝いていた巨大なシャンデリアが落ちたのが見えた。
ガシャーンッという大きな音と共に、中央のフロアで身体を寄せ合い踊っていた男女の姿が消え、シャンデリアの下に大きな赤い血だまりを作っていくー。

「キャーーーーーッ!!」

一瞬の沈黙の後、女性の悲鳴をきっかけに、会場がパニックに包まれる。
我先に逃げようとする人達が一度に、パーティー会場の入口へと押し寄せていく。
リヴァイ兵長はチッと舌打ちすると、私の手を握りしめた。

「来いっ!絶対に俺の手を離すなっ!!」

リヴァイ兵長は、私の手を引いて人の群れとは反対方向へと走り出した。
恐怖に振り乱して、入口へ向かう人達の身体が、リヴァイ兵長と私の行く手を阻む。
どんなに避けても、逃げようとする人達の身体が当たるから、ほんの少しの距離も前に進むのに時間がかかった。
少しすると、警備にあたっていた調査兵達が、必死に誘導しようとしている声がし始めた。
爆弾騒ぎが本当にパーティー会場で起こってしまうなんてー。
でも、念のためにと、調査兵団の兵士が警備をしてくれていてよかった。
よかったけれどー。
聞いていた爆弾騒ぎよりも大きな爆発、そして、血の海ー。
初めて、負傷者が出た。おそらく、犠牲者もー。
あのとき、リヴァイ兵長が手を引いてくれなかったら、私もあのシャンデリアの下敷きにー。

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