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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第75章 ◇第七十四話◇好きすぎて、大嫌い【恋の行方編】


「あの男が、好きなのか?」

その言葉が、私の中にあった我慢の糸を叩き切った。
カッと頭に血が上ったのが、自分でも分かった。
勢いよく振り返った私は、乱暴にリヴァイ兵長の手を振りほどいて、感情のままに声を荒げた。

「私が…っ、リヴァイ兵長のこと好きなこと知ってるくせに…っ!
 どうしてそんな無神経なこと言えるんですか…っ!!」

窓を叩きつける雨音が、静かな廊下で、私達のことを笑っているみたいだ。
私の声に驚いたのか、涙に驚いたのかは分からない。
でも、目を見開いたリヴァイ兵長は、スッと目を反らしてから、額に手をあてて表情を隠した。
私が、リヴァイ兵長じゃない誰かを好きになったと知って、安心でもしたかったのだろうか。
本当に、本当に、ヒドイ。
もう、ツラい。
ジャンの言う通りだ。
泣いているのに、いつも泣いているのに、私は幸せなわけが、ないー。

「もう…、ただの上司じゃなくていいです。」

目を伏せて、グッと拳を握る。
もう、ツラい恋に涙なんて流したくない。
こんなの、もう嫌だ。

「また、私を避けてください。」
「おい、何言ってやがる。」
「もういいです。リヴァイ兵長なんて、嫌いです…。
 だから、私のこと、嫌いなままでいいです。」
「おい、聞け。俺はー。」
「もう何もっ、何も聞きたくありませんっ。」

触れようとしたリヴァイ兵長の手を、私は叩いてしまった。
そんなこと初めてで、リヴァイ兵長も驚いて、叩かれた自分の手を見下ろしていた。
私も、自分がしたことが信じられなくて、ひどいことをしてしまった自分の手をギュっと握りしめて、唇を噛んだ。
こんなこと、望んでない。
言いたくないのにー。
恋心が悲鳴をあげる、助けてくれと泣いてる。

「もう二度と、私に話しかけないでください。お願い、します。」

私は頭を下げた。
そして、返事のないリヴァイ兵長を残して、走って逃げた。
部屋に入って、ベッドに倒れ込む。
枕に顔を押し付けて、泣き声を殺して泣いた。
最初から、こうしておけばよかった。
リヴァイ兵長に避けられ続けているままなら、こんな風に傷つくことはなかったのにー。
ジャンのことだって、傷つけずに済んだかもしれないのにー。
どうして私は、大嫌いで大嫌いで大嫌いなのに、リヴァイ兵長だけが恋しいんだろう。
リヴァイ兵長じゃなくちゃ、いやなんだろう。
バカ、みたいー。
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