• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第70章 ◇第六十九話◇彼女の王子様は誰?【恋の行方編】


応接室に漂う緊張感は、ペトラを委縮させた。
ソファに腰をおろしたルーカスの背筋の伸びた後ろ姿は、王子様の雰囲気をいまだに漂わせている。
扉の横に立ち、自分はついてくるべきではなかったかーとも思ったが、を返してもうと宣言した男を見過ごすことは出来なかった。
ペトラの隣に立つナナバからも、ピリピリとした空気が伝わってくる。
王子様こと、ルーカス・ユーリヒと名乗ったその男は、この応接室に案内する間も、たくさんの兵士の目に触れた。
誰もが一歩引いてしまう、リヴァイとはまた違ったオーラを持った男だ。
彼は、王都の貴族で、爵位は侯爵。
貴族の中でも身分の高い、普段ならば調査兵団が関わることすらないような存在だ。

「の“元”婚約者様のユーリヒ候が一体どういうご用件かな。」

向かい合うようにテーブルを挟みソファに座るハンジが、敢えて“元”に力を込めて言うと、ルーカスは困ったように眉尻を下げた。
を返してもらうと宣言したときの、威圧的な雰囲気は今の彼からは一切感じられない。
一体、どれが本当のルーカスなのかー。
ペトラは、ルーカスという人間を計りかねていた。

「お手紙を何度も出したはずですよ。
 が調査兵団に入団するに至った経緯を説明してほしいだけです。」
「説明しないと今後の壁外調査は禁止するって脅しの手紙のことを言ってるのか。
 どんな理由でがここにいたとしても
 無理やり自分のものにするのがお前の目的なんだろ。」

思わず、と言った様子でナナバが食ってかかる。
だが、そんな言葉を気にする素振りもなく、ルーカスは答えた。

「無理やりとは人聞きが悪いですね。
 そういう言葉が自然と出てきてしまうということは、
 自分達がそんな乱暴なことをしたと自覚がある証拠だと思ってしまいますよ。」
「…っ。」

ナナバが悔しそうに唇を噛んだ。
/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp