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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第67章 ◇第六十六話◇ただの上司と部下【恋の行方編】


「リヴァイ兵長と話してるところ、久しぶりに見ました。」

ジャンが愛馬の首辺りを撫でながら言う。
私に背中を向けたジャンは、ただひたすら愛馬を撫でている。
壁外で置いてきぼりにされるのは確かに怖いけれど、そんなに本気にされるとは思わなかった。

「今日、ハンジさんとモブリットさんにも言われた。
 あと、ナナバさんもだ。」

私は苦笑しながら答える。
彼らの目には、私はどれだけ惨めに映っていたのだろう。
リヴァイ兵長に告白をしたーと私から聞いていたジャンの目には、本当に哀れな女に見えていたに違いない。

「リヴァイ兵長と付き合うことになったんですか?」

ジャンは、私に背を向けたまま訊ねた。
彼がこっちを向いていなくて、よかった。
私の顔は、笑えるくらいに悲しみに歪んでいただろうから。

「まさかっ!
 私なんかと付き合うくらいなら、掃除禁止令出された方がマシだって言うよ、きっと。」

私から自嘲気味な笑いがこぼれる。
でもこれは、冗談ではない。
昨日までの冷たい背中は、ハッキリと私を拒絶していた。

「なんすか、それ。」

ようやく振り向いたジャンは、苦笑しながら言って、また私の隣に腰をおろした。

「でも、何かはあったんですよね?
 嫌われたって、落ち込んでたから…。
 いやっ、言いたくなかったらいいんすけど、どうしたのかなぁ~って気になって。」

ジャンが自分の首の後ろを触る。
私の顔を見づらいのか、ジャンは自分の靴の先を見つめていた。
そのおかげで、私も彼の顔を見て話さなくて良くて都合がいい。
真似をするわけではないけれど、両膝の上で結んだ自分の両手を眺めながら口を開いた。

「昨日の夜、お願いをしたの。」
「お願い、すか?」
「私の気持ちは忘れてください。リヴァイ兵長が迷惑なら私も忘れます。
 だから、ただの上司と部下に戻りたいです。
 それも無理なら、私はもう貴方の前から消えます。」
「…そう、言ったんですか?」
「そしたら、上司と部下に戻ってくれた。
 本当に、私の気持ちが迷惑だったんだね。」

結んだ両手が滲んできそうになって、私は唇を噛んだ。
リヴァイ兵長に恋人がいるとかいないとか、そんなの関係なかった。
だって、リヴァイ兵長がそれを望まないから。想うことすら、迷惑だと拒絶されてしまうくらいにー。
ジャンが、私の顔を覗き込む。
そして、心配そうにー。
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