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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第61章 ◇第六十話◇星のない夜【恋の行方編】


ペンを持つ手の動きは鈍く、頭もあまりまわっていなかった。
シンと静まり返る座学室、資料として持ってきた本とノートを広げる私は、自分に与えられた壁外任務のことで頭がいっぱいだった。
いや、違う。
ルルが死んだときのこと、そして、同じように死んでいく自分の姿を頭の中に思い浮かべては、言葉にできない不安に襲われていた。
窓を叩く雨音は酷くなるばかりで、勉強に集中して余計なことは考えないようにしようとする私の邪魔をしてくる。
巨人の大群がまた現れる可能性の高い巨大樹の森での壁外任務は、出発日まで時間が設けられていた。
それまでに完璧に準備を済ませ、目標の9割帰還を達成するためだ。

『ここに名前のある兵士の最低1割は
 次回の壁外調査に参加して死ぬ思いはしなくてよくなるってことか。』

リヴァイ兵長がエルヴィン団長に言った言葉が、頭の中でグルグル、グルグルと回っている。
死にたくない。でも、行きたくないとも言えない。
私は、兵士だ。
もう誰のせいにもしないで、自分の意志で調査兵団の兵士になると決めたときに、もう絶対に逃げないと決めたのだ。
公に心臓を捧げると、そう決めたからー。

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