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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第59章 ◇第五十八話◇眠り姫と不器用な王子様【恋の行方編】


「は一度寝たら、起こそうとするだけ無駄だ。
 あと少し、の地獄が続く。」

リヴァイは忌々し気に言うと、両手を出した。
ナナバは、その両手とを交互に見た後、わざとらしく首を傾げてみた。

「なに?」
「貸せ。」
「なんで?いいよ、私が部屋まで連れて行くから。」
「部屋に帰るついでだ、俺が連れていく。」
「それなら私の方がついでだよ。同じフロアだし。」
「お前は着替えがあるだろ。」
「だって、ドレスのままじゃ眠れないよ。ちゃんと着替えなくちゃ。
 返さないといけないのに、皴にでもなって弁償とか言われたらたまらない。
 それとも、リヴァイが着替えさせてくれるの?」
「…貸せ。」

着替えというワードで、一度躊躇ったリヴァイだったけれど、強引さは変わらなかった。
これ以上、煩わせてしまったら、リヴァイが本気でキレてしまいそうだったから、ナナバはの身体をそっとリヴァイの腕に渡した。
すると、ナナバの腕の中ではただダラリと身体を預けていただけだったが、吸い寄せられるようにリヴァイの首に両手を回して、胸板に頬を埋めた。
それがとても自然な流れで、それでいて、小説の中の恋人同士みたいで目を奪われた。
だって、自分の胸に顔を埋めるを愛おしそうに見下ろすリヴァイがとても切なくてー。
嘘を吐いたのが、心苦しくなった。

「そのドレス、返さなくていいから着替えさせなくていいよ。
 リヴァイに服を着替えさせられたって知ったら
 に恨まれそうだから、そのまま寝かせてあげて。」
「えっ!?こんな高価なドレス、シャイセ伯爵がくれたの!?」

リヴァイに教えてあげたのだが、反応したのはハンジだった。
日頃から調査兵団の資金繰りに頭を悩ませているから、こういう話題は聞き逃せなかったのだろう。

「のことが気に入ったらしくて、
 またこのドレスでパーティーに参加してくれって言われたんだよ。」
「おい、どういうことだ、エルヴィン。
 話が違ぇんじゃねぇのか。今回だけだって約束だろ。」
「心配するな、リヴァイ。
 こういうことはもう出来ないと丁重に断りを入れておいた。
 それでも、気が向いたらとドレスだけは頂いたんだ。」

一瞬殺気だったリヴァイに、エルヴィンがすかさず報告を付け加えた。
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