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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第59章 ◇第五十八話◇眠り姫と不器用な王子様【恋の行方編】


ウォール・ローゼからトロスト区にある調査兵団の兵舎まで走る馬車の揺れが気持ちよかったのか、それとも、眠れない理由でもあって寝不足だったのか、窓に頭を乗せるは、いつの間にか眠っていた。
なんとも無防備な姿に、ナナバは思わずクスリと笑う。
頬の傷を隠すためにも必要だった化粧で、だいぶ大人っぽい印象になったは、妖艶なドレス姿で貴族の男達の視線を独り占めにしていたのに、ここで眠っているあどけない寝顔はまだほんの少女のようだ。
初めてと出逢ってから、どれだけ日々が過ぎただろう。
長いとは決していえないのに、とても長いように感じてしまう。
ハンジが突然連れてきた異例の新兵だった。
訓練兵団をすっ飛ばしていきなり調査兵団に入るところなんてリヴァイと同じだから、どれだけ凄い技術を持っているのかと思ったら、嘘かと思うくらいに立体起動装置の扱いが下手くそで度肝を抜いた。
でも、それからのの成長ぶりは知っての通りで、今は自分達と並び精鋭と呼ばれても遜色ないほどの実力を持っている。
見て覚えるは、リヴァイの技まで習得してしまった。
これから、どんな兵士になるのだろう。
自分は、あとどれくらい、彼女の成長を見守ることが出来るのだろう。
馬車の揺れでの頬に髪がかかったのに気づいて、直してやろうとナナバが手を伸ばしたとき、エルヴィンに声をかけられて動きが止まった。

「を連れてのパーティーは、いつもとは違ったんじゃないか。」
「あぁ…、そうですね。
 エルヴィン団長とは違う忙しさはあったと思いますよ。」

ナナバの言葉に、エルヴィンは面白そうに口の端を上げた。
戦術に長ける我が兵団のトップであるエルヴィンは、頭が切れるだけではない。
他人の心も見透かしているんじゃないかと時々怖くなるほどだ。
今回、ドレスの適任を見つけてきたのはハンジだと言っていたが、そう仕向けたのはエルヴィンだろう。
そして、にこの役を押し付けたのにも、ドレスを着れるのが彼女しかいないという理由の裏に、彼の思惑が隠れているに決まっている。
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