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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第58章 ◇第五十七話◇不穏のはじまり(下)【恋の行方編】


ウォール・ローゼ内のとある大きな屋敷。
そこで開かれた煌びやかなパーティーには、選ばれしものだけが参加することを許される。
幼い頃からその高貴なパーティーへの参加権が与えられているクローテ・シャイセは、高級食だけで出来上がった丸い身体をブランドもののタキシードで包み、今夜もパーティーに参加していた。
だから、そこに兵士といった汗臭い下級の人間が混ざっているのが、いつも気に入らなかった。
特に、巨人がウロウロしている壁外に喜んで飛び出していくような頭のおかしい集団は大嫌いだ。
だが、クローテの父親は調査兵団と繋がっていて、資金繰りの援助をしている。だから、調査兵団の団長と分隊長が大きな顔をしてパーティーに参加してくる。
それを邪魔してやりたくて、わざと、兵団の女では着られないようなサイズのドレスを送りつけたのだがー。

「なかなかイイ女じゃねぇか。」

クローテが、舌なめずりして見つめる先には、藍色のサテンドレスを身に纏った若い女。
調査兵団の兵士で、確か名前はと言ったか。
兵舎の門前で待っていた馬車にがやってきたときは、心臓が止まるかと思うほどに驚いた。
貴族には綺麗な女が多い。だが、こんなに綺麗な女を見たのは初めてだ。
男好きする身体つきも、そそられる。
そのドレスには胸の大きさは少し足りなかったようだが、そのおかげでズレ落ちそうになるドレスを時々、困ったように持ち上げている姿は、最高の眺めだ。
まさか、こんなに綺麗な女が調査兵団の兵士をしているなんて、信じられない。
欲しい。すぐに、欲しい。今すぐにー。
父親譲りの悪い癖がクローテの思考を支配する。

「アイツが邪魔だな。」

クローテは不満気に顔を歪めた。
の隣から一瞬も離れようとしないタキシード姿の兵士。
女みたいに細い線をしているくせに、が他の男の目に入らないように守る姿は、紳士を通り越して、強面のガードマン並みだ。
顔だって女みたいなのに、貴族の女達の視線を集めているのも気に入らない。

「さて、どうやってアイツを消すか。」

クローテは、テーブルの上に並べられたワインを見て、とても良い作戦を思いついた。
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