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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】


だが、それでは納得いかなかったのか、リヴァイ兵長は不満げに眉を歪めた。

「お前はあぁいう男が好みなのか。」

リヴァイ兵長が訊き方を変えてくれたおかげで、何を訊きたかったのかようやく理解する。
さっきのペトラの冗談のことを思い出したのだろう。

「あぁ!ペトラが変なこと言うからですね。
 もう、本当に…。」

私は大きくため息を吐く。
リヴァイ兵長にまで誤解されてしまったではないか。
今日の夜は、ペトラの部屋に文句を言いに行こう。

「それで、どうなんだ。」
「違いますよ。全然、違います。」
「昔の男とアイツは似てるんじゃねぇのか。」
「え?」
「だから、任務中のアイツに声をかけたんじゃねぇのか。
 昔の男のことを忘れられなくて、お前はー。」
「え?ちょっと!ちょっと待ってください!」

急に饒舌に喋り出したリヴァイ兵長を慌てて止めた。
リヴァイ兵長がこんなに恋の話を好んでするとは意外だけれど、思考の方向が真逆過ぎる。
途中で言葉を遮られたリヴァイ兵長は不機嫌そうに私を見る。
今日のリヴァイ兵長はいつもと違うことを忘れていた。

「あの、ごめんなさい…、途中で話の腰を折ってしまって。
 でも、全然違いますから。」
「似てねぇって言うのか?」
「いえ、そうじゃなくて。似てるなぁ、とは思ってました。
 まさか、リヴァイ兵長までそう思ってるとは驚きましたけど。」
「…あぁ、まぁな。」
「でも、別に似てるからってベルトルトのことを好きになることも、
 ましてや、昔の恋人を思い出して恋しくなることもありません。絶対に。」

私は真剣に言って、リヴァイ兵長の目をまっすぐに見る。
きっと、彼に気持ちを伝えることはない。
どうせ、叶わないのだ。
それなら、何も言わずにいた方がいいと思っている。
傷つくのが怖いのだ。すごく、怖い。
ペトラのように強くはなれない。
好きだと伝えて、リヴァイ兵長に拒絶されるくらいなら、ただの部下でいたい。
それだけで十分だと信じ込む、少なくとも、今はそれでいいと思っている。
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