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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】


「お前らは各自休憩を続けてろ。」

ペトラ達に指示を出して歩いていくリヴァイ兵長を慌てて追いかける。

「待ってくださいっ!」
「こんな大量の林檎をどこに持って行くつもりだ。」

追いついた私に、リヴァイ兵長が訊ねる。
私の給料をつぎ込むしかなかったこの事態はお前のせいだー、喉まで出かけて、必死に飲み込む。

「壁外調査で頑張ってくれたテュランにご褒美です。」
「あー…、前にそんな約束をしてたな。」

お前がな!と叫びそうになったけれど、必死に必死に飲み込んだ。
だが、そこは許したわけではない。
たとえ、好きな人でも、勝手にありえない約束をテュランと交わしたことは許されることではない。
だって、給料を奪われた怨念は深いのだ。

「リヴァイ兵長、もう私が持ちますっ!」
「いい、俺が持って行ってやる。」
「テュランのところまですぐそこなので、大丈夫ですよ。
 リヴァイ兵長のお手を煩わせるわけにはいきません。」

私が紙袋を持って強引に奪おうとすると、リヴァイ兵長が立ち止まった。

「休憩中の俺の手は煩わせられねぇが、
 任務中のアイツの手なら借りてぇのか。」

静かに怒るリヴァイ兵長の目線は下に落ちていて、自身が抱える林檎の入った紙袋を睨みつけていた。
不機嫌に歪んだ眉とピリリとした空気は、彼が相当怒っていることを示している。
今まで、リヴァイ兵長に叱られることはあった。
訓練中に怒鳴られることもあった。
ただ、それはいつも部下のためだという想いを感じていたから、怖かったけれど、恐怖はなかった。
でも、今目の前のリヴァイ兵長の怒りには、恐怖を感じた。

「ごめんなさい。あの子達にもちゃんと謝ります。
 本当に、すみませんでした。」

頭を下げる私の頭上に、リヴァイ兵長のため息が落ちた。
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